ティタノはドイツ生まれの抗菌コーティング剤です。
抗菌コーティング剤は液体で、これを霧状にしてウイルスや細菌を侵入させたくない空間全体に吹きつけます。抗菌コーティング剤にウイルスなどを接触させて死滅させます。
抗菌コーティングは実績のあるウイルス対策ツールですが、新型コロナの流行であらためて注目され、病院の病室や企業の事務所、飛行機の客室、一般家庭などで使われています。
ただ抗菌コーティングの導入には注意が必要です。なぜなら「この成分が含まれていないと抗菌コーティングと呼んではいけない」というルールがないからです。
抗菌コーティングは、そこに含まれる成分で選んでください。
ティタノには、酸化チタン、銀、硝酸が含まれています。
なぜこの3つが選ばれたのか解説します。
なぜこの3つなのか
ティタノに、酸化チタン、銀、硝酸が使われているのは、人を害することなくウイルスなどを退治できるからです。
ウイルス退治は簡単なのに難しいから
意外に思われるかもしれませんが、ウイルスや細菌を「殺すだけ」なら簡単です。それは新型コロナも同じで、厚生労働省は70度以上の熱や70%以上のアルコールで効果があるとしています(*1)。
70度の湯は家庭で簡単につくることができますし、70%以上のアルコールも簡単に購入できます。
しかし、人は42度のお風呂でも長くつかっていられません。気温なら30度になっただけで命に危険が及びます(*2)。
そして「喉が焼けるように感じる」ウイスキーでもアルコール度数は40%くらいしかなく、アルコールは30%くらいで引火する危険な液体です(*3)。
したがって70度の熱は危険な状態であり、70%のアルコールは危険な液体です。アルコール消毒を手指に限定しているのは危険だからです。
さらにいえば、70度の温度は加熱をやめるとすぐに低下してしまい、アルコールは除菌する都度吹きつけなければなりません。両方ともとても使いにくい「道具」です。
ウイルスなどを死滅させる性質を持ちながら安全かつ簡単でないと使い物にならないので、「ウイルス対策は難しい」といわれるわけです。
効果、安全、楽、持続の4つの性質を持つから
以上のことからウイルス対策には、1)ウイルスを死滅させる効果を持ちながら、2)人にとって安全で、3)取り扱いが楽で、4)効果が持続するもの、という4つの性質が必要になることがわかります。
酸化チタンと銀と硝酸を合体させると、この4つの性質を持たせることができます。
3つの成分の特徴を端的に紹介すると、このようになります。
- 酸化チタン:抗菌の概念を変えた驚きの性能
- 銀:レジェンド級の抗菌成分
- 硝酸:抗菌界の頼れる助っ人
成分の特徴を1つずつみていきます。
酸化チタン:抗菌の概念を変えた驚きの性能
物体に塗るだけで抗菌効果が生まれる――。
これが、酸化チタンが抗菌の概念を覆したといわれる所以(ゆえん)です。
東大が発見、単純すぎて「怪しい」と思われたほど
酸化チタンは白色のペンキに使われるありふれた物質なので、調達が容易でコスト安という優れた性質があります。
酸化チタンの抗菌作用を発見したのは東京大学工学部の大学院生でした(*4)。ありふれたものを塗るだけで抗菌できるという仕組みがあまりに単純なため、この世紀の大発見が論文になったとき、それを審査した専門家から「怪しげだ」という声があがったほどです。
光と反応して抗菌する
酸化チタンの抗菌作用が公表されたのは1972年で、それ以降改良が加えられ、実用化されるころには光触媒と呼ばれるようになりました。
光触媒という言葉は本来、光のエネルギーで化学反応を起こす物質の総称なのですが、酸化チタンの効果が突出して優れているので今では光触媒=酸化チタンと理解されています。
酸化チタンに光を当てると光のエネルギーが取り出され、そのエネルギーが近くの水(H2O)を水素(H)と酸素(O2)に分解します。空気中に漂う水蒸気でも同じ現象が起きます。
水の分解によって酸化が起こり、これが周囲の有害物質を分解します。それでウイルスや細菌を殺すことができます。
助触媒がみつかって普通の光でも効果が出るようになった
しかし酸化チタンだけでは、日光のなかに含まれている強い光である紫外線に当たらないと効果を発揮しませんでした。それでは日光がさんさんと照っていないと抗菌効果が生まれないので、使える場所やシーンが限られてしまいます。
この課題を突破したのが金属イオンでした。
実験では鉄イオンや銅イオンが使われ、これを酸化チタンに混ぜると蛍光灯の光でも抗菌効果が生まれることがわかりました。
イオンとは、電子が多くなったり少なくなったりした原子のことです。
酸化チタンに混ぜて効果を高めることができる物質のことを、助触媒といいます。
なお、酸化チタンの化学式はTiO2で、東大はこれを「酸化チタン」と呼んでいますが、同じものを「二酸化チタン」と呼ぶ人もいます。本稿では発見者に敬意を払って「酸化チタン」を使っています。
銀:レジェンド級の抗菌成分
ティタノで使われている助触媒は、銀イオンです。
銀イオンは光を吸収する力が強く、弱い光でもエネルギーを増幅して酸化チタンのパワーを高めることができます(*5)。
そして銀は、それ自身に殺菌効果があります。
古代エジプトでも食べ物の腐敗防止に銀が使われ、中世ヨーロッパで食器の素材に銀が使われるようになったのも、単に豪華なだけでなく抗菌効果を期待されてのこと、といわれています(*6)。
そしてドイツで1929年に、銀が水に触れたときに発生する銀イオンに水中の微生物を殺す力があることがみつかり、科学的に銀の効果が証明されました。
銀イオンは鉄イオンや銅イオンより高価ですが、酸化チタンの力を高めて、それ自身でも抗菌することからティタノで使っています。
硝酸:抗菌界の頼れる助っ人
硝酸は硫酸や酢酸と並ぶ強酸と呼ばれる酸です。酸化力が強く、硝酸もこれ自身で抗菌効果を持ちます。
硝酸は肥料、ニトログリセリン、火薬、セルロイド、染料、顔料、化学繊維、医薬品に使われている「化学界の名わき役」といった存在です。
そして抗菌の世界でも硝酸は活躍しています。硝酸(HNO3)から酸素原子を1つ取り除いた亜硝酸(HNO2)はグラム陰性菌を速攻で殺す殺菌力を持ち、過硝酸(HOONO2)は高い殺菌力を持つのに人への安全性が高い物質として注目されています。
まとめ~効果が1年持続するのは不思議なことではない
酸化チタンと銀と硝酸が、ウイルスに悩まされ続ける現代社会においてどれだけ頼りになる成分であるか、ご理解いただけたと思います。
この3つの成分が含まれているため、当社はお客様に自信を持ってティタノをおすすめすることができます。
もちろん、酸化チタンと銀と硝酸を混ぜるだけでティタノになるわけではなく、一度塗っただけで1年間効果を持続させるためには独自技術とノウハウが必要になります。
ティタノが「塗るだけで抗菌効果が1年間持続する」のは、種も仕掛けもあるので安心してください。