抗菌コーティングはコロナ対策でどのような役割を担い、どれくらい期待できるのか

抗菌コーティングはコロナ対策でどのような役割を担い、どれくらい期待できるのか

新型コロナウイルス対策(以下、コロナ対策)には、マスクの着用、3密回避、換気の徹底、アルコール消毒、抗菌コーティングなどさまざまな方法があります。
これらは人類の英知といっても決して大袈裟ではありません。なぜならこれらの方法はすべて、目でみえないウイルスをつかまえて性質を分析して、実験で効果を1つひとつ確認したうえで使われているからです。

しかし、このような疑問が浮かびませんか。

●なぜ1つの方法でコロナ対策ができないのだろうか

答えはこのようになります。

●コロナは強敵すぎて1つの方法では対処しきれないから

それぞれの方法にはそれぞれの役割があって、その役割の範囲内で効果を発揮します。したがってコロナ対策の方法を増やすことで、防御を強化していくしかありません。
この記事では、抗菌コーティングに焦点を当てながら、それぞれの方法の役割を解説していきます。

コロナの性質とは

コロナの性質とは

それぞれのコロナ対策の方法の役割を知るには、コロナの性質を知っておく必要があります。
コロナと、コロナが引き起こす感染症はとても恐い存在です。簡単にスピーディに感染していくうえに、命を奪うことがあります。
しかし、同じように重大な健康被害をもたらす、がんや心臓病と比べると、コロナ感染症の発生メカニズムと対策はシンプルです。

がんや心臓病の原因は、体質や遺伝、生活習慣、食生活、ストレスなどさまざまで、原因が特定できない場合もあります。
しかしコロナ感染症の原因は「ウイルスに接触して感染すること」「だけ」です。ウイルスに接触しなければ、感染せずコロナ感染症は発生しません。

そして、がんや心臓病を予防するには、生活習慣や食生活などを変えなければならず、しかもそれらを講じてもうまくいくとは限りません。
ところがコロナ感染症を予防するには、自分がウイルスから遠ざかるだけでよいのです。

鬼ごっこの鬼としては驚異的な能力

鬼ごっこの鬼としては驚異的な能力

ではなぜ、ウイルスから遠ざかるだけでよいのに、「これさえしておけば大丈夫」といえるコロナ対策の決定版が出ないのでしょうか。

コロナ対策は、鬼ごっこと似たところがあります。もし鬼ごっこで、足がものすごく速く、俊敏に動くことができる人が鬼になったら、簡単につかまってしまうでしょう。
コロナは足がものすごく速く、俊敏に動き、しかも目にみえないくらい小さいからみつけることができず、どこにでも入っていけるので、人類がコロナから逃げ切るのは至難の業(わざ)です。

しかし、1つの方法でコロナを一網打尽にできなくても、コロナの複数の「鬼能力」を1つひとつ潰してコロナを制圧することはできます。

コロナの能力を1つひとつ潰していけ!

コロナの能力を1つひとつ潰していけ!

コロナの感染能力が強いのは次のような性質があるからです(*1)。

  • 微小
  • 飛沫感染する
  • 空気感染する
  • 接触感染する
  • 簡単に死なない

コロナには足も羽もないので自分で移動することはできませんが、1個の大きさは100nm(ナノメートル、1mmの1万分の1)と微小で軽いので、空間に風が起きると簡単に飛ばされます。
したがって、コロナに感染した人がくしゃみをすれば、その人のなかで増殖したコロナが息や唾(つばき)と一緒に飛んでいき感染を広げます。これが飛沫感染です。

またコロナは、微小であるためにエアロゾルという形態になって市中感染や空気感染を引き起こす可能性があります。
エアロゾルとは微小な固体と気体が混ざった状態のことで、そのため気体が空間を漂ったり流れたりすることで、微小な個体も空間を漂ったり流れたりしてしまいます。これが空気感染です。

そして、コロナは人の手足や胴体などに接触しただけでは感染しないのですが、コロナがついた指で口や鼻、目を触ることで感染します(*2、3)。
口、鼻、目はコロナにとって、人間の細胞の中に入るための入口のような存在です。コロナなどのウイルスは自分だけで増えることができず、人間などの細胞に侵入することで増えることができます(*4)。それでコロナは「なんとかして人間の体内に入ってやろう」と考えて、口、鼻、目を狙っているわけです。
これが接触感染です。

コロナはさらに、生命力が強いのでアルコールや酸化チタンといったコロナにとっての毒に触れないと死滅しません。

人が、コロナがいない密閉された空間に閉じこもり、コロナがいるエリアに出てこなければ感染しませんが、それでは何もできないのでコロナに勝ったことになりません。

それで人類は、

  • 微小
  • 飛沫感染する
  • 空気感染する
  • 接触感染する
  • 簡単に死なない

という性質を1つずつ潰していく作戦を取ったわけです。

*1:https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2559-idsc/10901-covid19-04.html
*2:https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000657104.pdf
*3:https://www.gankaikai.or.jp/info_covid/nihou.pdf
*4:https://www.jiu.ac.jp/features/detail/id=6822

抗菌コーティングの役割

抗菌コーティングの役割

質問です。

Q:コロナ対策として注目されている抗菌コーティングが、コロナに対してできることは次のうちどれでしょうか。

  1. 微小である性質を潰す
  2. 飛沫感染する性質を潰す
  3. 空気感染する性質を潰す
  4. 接触感染する性質を潰す
  5. 簡単に死なない性質を潰す

答えは「4:接触感染する性質を潰す」と「5:簡単に死なない性質を潰す」です。
そして最近、「3:空気感染する性質を潰す」も可能なのではないか、とする研究結果も出ています。
さらに「1:微小である性質を潰す」ことも、間接的に可能です。

抗菌コーティングの役割と実力を紹介します。

抗菌コーティング「ティタノ」の場合で解説

抗菌コーティング「ティタノ」の場合で解説

抗菌コーティングは、人に害を与えないもののウイルスにとって毒になる薬剤を物体の表面に塗って皮膜をつくり、そこに触れるウイルスを死滅させるものです。

ただ、「この成分が入っていないと抗菌コーティングとは呼べない」といったルールも「このウイルスを殺せないと抗菌コーティングとは呼べない」というルールもありません。
そこでこの記事では、抗菌コーティング「ティタノ」の場合で解説していきます。

ティタノの有効成分は酸化チタン、銀、硝酸で、いずれもウイルスの毒になることがわかっています。
酸化チタンは、光触媒の主成分にもなっています。光触媒については後段の「コロナの空気感染をどう防ぐのか」のところで解説します。

抗菌コーティングはコロナの接触感染をどう防ぐのか

抗菌コーティングはコロナの接触感染をどう防ぐのか

「コロナは接触によって感染する」という説明を聞いたことがあると思いますが、例えばコロナが手に接触して付着しただけでは感染しません。なぜなら、コロナがいくら微小でも手の皮膚を通過することができないからです。
皮膚を通過できなければ、コロナは人の細胞のなかに潜り込むことができず感染しません。

コロナを接触させてはいけない部位は、口、鼻、目です(*5)。なぜなら、口や鼻のなかや目の表面は皮膚ではなく、粘膜に覆われているからです。粘膜は皮膚より防御力が弱いので、コロナが粘膜に付着すると簡単に体内に侵入されてしまい、細胞のなかに入っていきます(*6)。

したがって接触感染とは「コロナ→手に付着→手で口、鼻、目に触る→コロナが粘膜から体内に侵入」という経路のことを指します。
では、抗菌コーティング(ティタノ)はどのようにして、この接触感染を防ぐのでしょうか。

室内を抗菌コーティングすると、室内のあらゆるモノの表面に被膜が張られます。あらゆるモノとは、壁、床、机、椅子、パソコン、本、棚などのことです。
被膜の成分はコロナにとっての毒なので、コロナがモノの表面に触れた途端に死滅します。
この状態であれば、人の手が室内のモノに触れても、そこにはもうコロナがいないので手に付着することはありません。その手で口、鼻、目を触っても大丈夫です。

ただ、抗菌コーティングだけで100%大丈夫とはならないので、手指の水洗いや石鹸洗い、アルコール消毒を併用する必要があります(*7)。

*5:https://www.mhlw.go.jp/content/000761088.pdf
*6:https://www.bdj.co.jp/articles/infectioncontrol/1f3pro0000010c7e.html
*7:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html

抗菌コーティングは簡単に死なないコロナをどう殺すのか

抗菌コーティングは簡単に死なないコロナをどう殺すのか

抗菌コーティングがコロナを殺すことができるのは、コロナにとって毒となる成分が含まれているからです。
ティタノであれば、酸化チタン、銀、硝酸が含まれています。

東京工業大学などは、酸化チタンを含む可視光応答形光触媒材料が、コロナを不活化させる(死滅させる)ことを証明しました(*8)。
また国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構などは、銀を付着させた繊維を使ってコロナを99.9%以上不活化させることに成功しました(*9)。
硝酸にも強い殺菌力があることが知られています(*10)。

さすがのコロナも、酸化チタン、銀、硝酸に襲われたらひとたまりもありません。

*8:https://www.titech.ac.jp/news/2020/048019
*9:https://www.qst.go.jp/site/press/20210715.html
*10:http://www.ppl.eng.osaka-u.ac.jp/pna/novel-sterilization.html

コロナの空気感染をどう防ぐのか

コロナの空気感染をどう防ぐのか

東京大学農学部、理化学研究所、日本大学医学部などは2021年3月、「光触媒で空気中に浮遊する新型コロナウイルスの感染性を検出限界以下まで消失させることに成功」と発表しました(*11、12)。
光触媒に空気感染を防ぐ力があることがわかりました。

この実験で使われた光触媒と抗菌コーティング(ティタノ)には次のような共通点があります。

<光触媒と抗菌コーティングの共通点>
●酸化チタンを主成分にしている
●モノの表面に被膜をつくって抗菌する

実験では、120リットルのアクリルボックスのなかに、アエロゾル化したコロナを充満させました。120リットルは、小型の冷蔵庫くらいの大きさです。「エアロゾル化したコロナ」とは、コロナと気体を混ぜてコロナが一定時間空中に浮遊できる状態にした、という意味です。

そして、このアクリルボックスのなかに仕込んでおいた「光触媒を搭載した空気清浄機」を稼働させ、さらに光触媒に可視光(一般的な光)を20分照射したところ、エアロゾルのなかのコロナを99.9%不活化させる(死滅させる)ことができました。
この実験の成果は以下のとおりです。

<この実験の成果>
●光触媒を使って空間に浮遊しているコロナを殺すことができる
●光触媒は紫外線を当てると抗菌効果を発揮するが、人に害を及ぼさない一般的な光である可視光でも効果が生まれることがわかった

東大の実験は空気清浄機を使っていて、この点は抗菌コーティングとは異なりますが、しかし酸化チタンに空気中のコロナを死滅させる力があることがわかったことは、抗菌コーティングのさらなる可能性を示唆しているといえます。

*11:https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20210521-1.html
*12:https://www.mdpi.com/1999-4915/13/5/942

微小である性質をどう克服するか

微小である性質をどう克服するか

抗菌コーティングは、コロナが微小であることを逆手にとって退治することができます。
微小なコロナは、空中を浮遊したり荒い網目をすり抜けたりすることで感染を広げていきますが、微小であっても物体であることはコロナの弱点になります(*13)。
物体である以上空中をフワフワ飛んでいても、重力の影響を受けて必ず落下します。
そして落ちた場所に抗菌コーティングの被膜が張られていれば、抗菌コーティングの成分に触れることでコロナは死滅します。

抗菌コーティングは、地上に「毒の網」を張ってコロナを待ち構えているわけです。コロナは抗菌コーティングから逃げることはできません。

*13:https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_soc_medical20200617j-01-w300

まとめに代えて~他の対策と一緒に抗菌コーティングを使うと効果が上がる

ここまで抗菌コーティングの効果を解説してきましたが、繰り返しになりますが、これ1つでコロナ対策が万全になるわけではないので注意してください。

人々は、コロナ対策に対して、次のような効果を期待しています。

  • 微小であることへの対応
  • 飛沫感染への対応
  • 空気感染への対応
  • 接触感染への対応
  • 簡単に死なない性質への対応

そして抗菌コーティングが担うことができる役割は以下のとおりです。

人々が期待する効果抗菌コーティングの役割(満点は★★★)
微小であることへの対応★★
飛沫感染への対応 
空気感染への対応
接触感染への対応★★★
簡単に死なない性質への対応★★★

抗菌コーティングは、●接触感染への対応と●簡単に死なない性質への対応を得意として、●微小であることへの対応も、ある程度得意としています。
空気感染への対応は、実験レベルとはいえ光触媒の効果が確認されたので、得意とまではいえませんが可能性はあります。

しかし抗菌コーティングは飛沫感染への対応が苦手です。そのため、抗菌コーティングされている空間内であってもマスクは必要になります。
また、空間に大量のコロナが持ち込まれたら抗菌コーティングの効果でも追いつかないので、手指をアルコール消毒して室内に入ることが求められます。
そして、室内で空中浮遊しているコロナが落下して抗菌コーティングに触れるまでには時間がかかるので、換気をしてコロナを室外に飛ばしてしまったほうがよいでしょう。

そして抗菌コーティングなら、マスクやアルコール、換気の弱点を補うことができます。
マスクはコロナをシャットアウトするだけで殺しませんが、抗菌コーティングは殺します。
アルコールはコロナを瞬時に殺しますが、その効果はすぐに薄れてしまいます。しかしティタノは、一度室内をコーティングすれば1年間効果が持続します。
換気をしても室内にコロナが残る可能性がありますが、そのコロナも抗菌コーティングしているモノのうえに落ちれば不活化されます。

このように抗菌コーティング、マスク、アルコール消毒、換気などはそれぞれ役割が異なるので、合わせて使うことでより強いコロナ対策になるわけです。

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