【感染症対策のお値段】ウィズ・コロナの経営はコスト計算が欠かせない

【感染症対策のお値段】ウィズ・コロナの経営はコスト計算が欠かせない

企業は2022年もコロナに振り回されそうです。
2021年秋、日本は新型コロナ第5波の封じ込めに成功しました。国内の感染者数は、2021年8月は1日2万人台で推移していましたが、同年11月には1日100人を切ることもありました(*1)。
ところが世界に目を転じるとオミクロン株が新たな脅威として出現し、日本政府はむしろ警戒を強めています(*2、3)。

企業も、感染症対策の手綱(たづな)を緩めるわけにはいきませんが、それにはお金がかかります。
感染症対策コストは企業に重くのしかかっているので、経営者は「いくらかかるのか」をしっかり把握しておいたほうがよいでしょう。
感染症対策のお値段を考えながら、8つの戦略を紹介します。

*1:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/
*2:https://www.bbc.com/japanese/59514706
*3:https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2021/1202kaiken.html

居酒屋のアクリル板が教えるコロナ・コスト戦略とは

居酒屋のアクリル板が教えるコロナ・コスト戦略とは

居酒屋のカウンター席などに置かれているアクリル板がいくらするかご存知でしょうか。
同じ「幅40cm、高さ50cm、スタンド付き」のアクリル板でも、1枚約1,000円のこともあれば、1枚3,500円になることもあります。
なぜ3.5倍もの価格差があるのかというと、多く買うと安くなるからです。

あるアクリル板メーカーは、「幅40cm、高さ50cm、スタンド付き」アクリル板を、1枚なら3,502円(税込、以下同)で売り、2,000枚なら2,044,900円で売っています(*4)。2,000枚買うと、1枚換算1,022円になります。

つまり、カウンター席しかない独立系の居酒屋がアクリル板で感染症対策を行うとき、そのコストは全国チェーンの居酒屋の3.5倍もかかるわけです。
アクリル板は、ウイズ・コロナ時代の感染症対策コスト戦略を教えます。

*4:https://www.hazaiya.co.jp/partition.html

アクリル板を配布するコストも計算に入れる

感染症対策のなかには、大量の物資を必要とするものがあり、スケールメリットが出やすくなります。スケールメリットとは、規模が大きくなるほど効率的になってコスト安になる現象のことです。
アクリル板だけでなく、マスク、消毒用アルコールなどは、購入しなければ対策になりません。
従業員や顧客向けにマスクや消毒用アルコールを用意している企業なら、一括して大量に購入することでコストダウンを図ることができます。
中小企業や個人商店などは大量に在庫を抱えるわけにいかないので、1社では限界があります。同業者や商店街などの仲間と組んで1回の発注量を増やす方法があります。

しかし複数の飲食店が共同でアクリル板を購入するとき、店によってカウンターやテーブルの大きさが変わるので、アクリル板もさまざまなサイズを買わなければなりません。
そうなると、共同購入する飲食店に要望を聞いたり、アクリル板メーカーと価格交渉をしたり、納入されたアクリル板を各店に配布したりする作業が必要になります。
この人件費や手間賃も、感染症対策コストに含めなければなりません。

感染症対策コスト戦略その1~3

アクリル板が教えてくれる感染症対策コスト戦略は、次の3つです。

  • コスト戦略1:対策資材は一括大量購入を心がける
  • コスト戦略2:中小企業や小規模事業者は仲間を集めて対策資材の一括大量購入を目指す
  • コスト戦略3:他社と協力すると、協力コストが発生するのでそれも計算に入れる

抗菌コーティングは業者を選ぶことで実質的なコストダウンができる

抗菌コーティングは業者を選ぶことで実質的なコストダウンができる

抗菌コーティングは会社の事務所内や家の部屋に、ウイルスや細菌を死滅させる液剤を散布して、壁や床、天井、モノの表面などに「抗菌の膜」を張る感染症対策手法です。
抗菌の膜にウイルスが触れると、不活化します。

液剤を散布して膜を張る、という手法なので、抗菌コーティングは広い空間の感染症対策に向いています。
それで広い空間を持っている企業には、抗菌コーティングは効率的な感染症対策になります。
DKSHの「ティタノ」も抗菌コーティングです(*5)。

抗菌コーティングは安さだけに着目すると失敗するので、ここでのコスト戦略は、業者選びになります。
よい業者を選ぶとコストダウンできます。

(参考URL)
抗菌コーティングは「見えない」から業者選びが重要【後悔しないコロナ対策】

*5:https://titano-coating.jp/#titano

コスト構造を考える「液剤費+施工費+諸経費は適切か」

抗菌コーティングの効果を決めるのは、空間に散布する液剤と施工技術です。
効果が立証されている液剤を使わないとウイルスを不活化(感染できない状態にすること)できませんし、正しい方法で散布しないと、確かな液剤を使っていてもウイルスを取り逃がしてしまいます。
抗菌コーティングのコストを考えるとき、液剤費と施工費と諸経費を検討しなければなりません。

抗菌コーティング選びでは、物資を買うときのように「安ければよい」という方針が通用しません。
企業が抗菌コーティングを発注するときは、担当者は業者に、見積書と詳しい説明を求めたほうがよいでしょう。
そして、適切な液剤を使った液剤費なのか、適切な施工をするための施工費になっているかを確認してください。
さらに、見積書に「諸経費」が掲載されていたら注意してください。悪意のある業者は、液剤費や性公費を安くするために、交通費や事務経費などの諸経費を高くすることがあります。

適切な液剤費とは

適切な液剤費とは

抗菌コーティングの液剤が適切かどうかは、成分で確認します。
成分を詳しく知るには専門的な知識が必要ですが、コストを考えるだけなら誰でも簡単にみわけられる方法があります。

●二酸化チタン(TiO2)が入っているかどうかを確認する

東京大学大学院農学生命科学研究科などは2021年5月、光触媒に、新型コロナを消滅させる効果があることを証明しました(*6)。
光触媒には、二酸化チタンが含まれています。

これに先立つ2020年10月には、東京工業大学物質理工学院などが、可視光応答形光触媒材料に、新型コロナを不活化する作用があることを確認しました(*7)。
可視光応答形光触媒材料にも、二酸化チタンが含まれています。

もし抗菌コーティング業者が2社あり、両社に見積もりを取り、A社が、値段が高いものの二酸化チタンが含まれている液剤を使い、B社が、値段が安いものの二酸化チタンが含まれていない液剤を使っていたら、A社を選ぶべきでしょう。
もちろんDKSHの「ティタノ」には二酸化チタンが含まれています(*5)。

*6:https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20210521-1.html
*7:https://www.titech.ac.jp/news/2020/048019

適切な施工費とは

抗菌コーティングの液剤は、無色透明で無臭です。そして抗菌コーティングの施工は、空間内に誰も入れず作業員だけで行ないます。
つまり、抗菌コーティングを施工したあとの事務所を見渡しても、施工したのかどうかわかりません。最悪の場合、悪意ある業者に発注してしまい、液剤を散布していないのに「散布した」といわれてもわかりません。

そこで、抗菌コーティング業者を選ぶときは、ATP検査を行なっているかどうかを確認したほうがよいでしょう。
ATPはアデノシン3リン酸の略称で、生き物を多く含む有機物に含まれる物質です。事務所内を抗菌コーティングするとATPが減ります。
ATPが減っていれば、「その抗菌コーティングにウイルスを殺す力がある」と推定できます。プロもATPの数で抗菌剤の評価をしています。

ATP検査では、抗菌コーティングをする前に机や壁のATPの量を調べ、抗菌コーティング後にも机や壁のATPの量を調べます(*8)。これでATPが、抗菌コーティングによって減っているかどうかがわかります。

悪意ある業者は、ATP検査は恐くて実施できないはずです。
もし2社の抗菌コーティング業者に見積もりを取り、A社が、値段が高いもののATP検査を行ない、B社が、値段が安いもののATP検査を行なわないなら、A社を選ぶべきでしょう。
DKSHは「ティタノ」を施工するときATP検査を行ない、ATPが減っていることを示します(*9)。

ティタノを施工する際のATP検査

*8:https://biochemifa.kikkoman.co.jp/kit/atp/method/about/
*9:https://www.dksh.com/jp-jp/titano/home/applications

金額表示できないメリットも円換算する

抗菌コーティングは1回実施すれば年単位で効果が持続するので、手間がかからない、というメリットを企業にもたらします。
また社内や店舗内に「抗菌コーティング済」の証明書を掲示することで、従業員や顧客に安心感を与えることができます。

手間がかからないことや安心感は、金額表示できません。
しかし企業の感染症対策コスト戦略では、あらゆるメリットを円換算する必要があります。

抗菌コーティングをしたことによって従業員の殺菌業務が減ったら、「担当者の時給×削減できた殺菌時間」でメリットを円換算できます。
安心感は従業員の生産性の向上や来店者の増加をもたらします。生産性や来店者増は円換算できます。

メリットを円換算したら、抗菌コーティングの費用から差し引きます。それが抗菌コーティングの実質的なコストになります。

●実質的な抗菌コーティング・コスト=抗菌コーティングの費用-メリットの円換算

感染症対策コスト戦略その4~6

抗菌コーティングが教える感染症対策コスト戦略は、3つあります。

  • コスト戦略4:効果が目にみえない対策は、効果を実証できるものを選ぶ
  • コスト戦略5:施工が必要な対策は、正しく施工されているか確認する
  • コスト戦略6:支出額からメリットの金額を差し引いた額が実質的なコストになる

0円対策をどん欲に実行する

0円対策をどん欲に実行する

感染症対策コスト戦略のその7は次のとおりです。

  • コスト戦略7:コスト0円の感染症対策をどん欲にすべて実行する

2022年に入ると、コロナ禍は丸2年が経過して3年目に突入します。この間、さまざまな知恵が生まれました。
そのなかには、お金がかからないコスト0円の感染症対策もあります。

店内の音楽の音量を下げる

ある飲食店は感染症対策として、店内に流していた音楽の音量を下げることにしました。
音楽の音量が下がると、客は小さな声でも会話ができるようになります。
コロナは飛沫で感染が広がり、会話は飛沫の原因になります。飲食店のなかで大声を出さないことは、厚生労働省が感染症対策として推奨しています(*10)。

そして、感染症対策として音楽の音量を下げていることを客たちに知らせれば「そこまで気遣いをしている店なのか」と喜んでもらえます。
音量を下げることは、無料であるだけでなく、飛沫対策になるだけでなく、店の評判をあげる効果もあるのです。

*10:https://www.mhlw.go.jp/stf/inshoku.kansenboushipop.html

従業員にワクチン接種を推奨する

企業にとって、従業員がコロナ・ワクチンを接種することは、最大最強の感染症対策コスト戦略といえます。現在のところワクチンだけが、最大最強の新型コロナ対策だからです。
しかも、日本政府は国民に無料でワクチンを提供しているので、経営者が従業員に向かって、「アレルギーなどの事情がある人以外は、早期にワクチンを接種して欲しい」と訴えることは0円戦略です。
しかもワクチンについては厚生労働省も、特別な事情がある人以外の国民に早期の接種を呼びかけているので、経営者も従業員にすすめやすいと思います(*11)。

帝国データバンクによると、コロナ・ワクチン接種に関して、何らかの施策に取り組んでいる企業は80.7%に及びます(*12)。
取り組みの内容は、接種の推奨50.8%、ワクチン接種のための特別有給休暇の付与32.3%など。
特別有給休暇の付与はコストが発生しますが、それでもワクチンの効果を考えると「格安」です。

*11:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html
*12:https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p210701.html

運用コストが「電気代のみ」のものを実行する

運用コストが「電気代のみ」のものを実行する

感染症対策コスト戦略のその8はこちらです。

  • コスト戦略8:運用コストが「電気代のみ」のものを実行する

感染症対策になる装置のなかには、装置を購入したあとは、電気代のみで運用できるものがあります。
換気システムとオゾン発生器を紹介します。

換気システムのコスト

事務所内や店内の換気を行うことは、厚生労働省が推奨する感染症対策です(*13)。
換気で注意しなければならないのは、室内だけの空気循環では感染症対策にならないことです。冷暖房設備の本体に、屋内の空気を取り入れる口がついている場合、それは室内だけの空気循環になり、換気になりません。

換気には、窓を開けて外気を室内に入れる自然換気と、ファン(換気扇)を使った機械換気があります。

自然換気を利用するには、換気小窓が有効です。換気小窓は、大きな窓枠のなかにつけます。
大きな窓だけだと、換気のために窓を開けていると防犯上のリスクが高くなってしまいますが、換気小窓なら開け放しても人が通り抜けられず、大きな窓の鍵を閉めることができます。
窓の交換のコストは工賃込みで数万円。これなら電気代も要りません。

広い事務所を本格的に換気する場合、排気工事が必要になり、こちらは工法や工事の規模によってコストがかなり変わってきます。
外壁に穴を開けて換気扇を取りつけるだけなら数万円で済みます。
天井に穴を開け、そこにダクトという「空気を流すトンネル」を取りつけて、排気ファンで強制的に外に空気を送り出す換気システムは、数百万円かかることもあります(*14)。
ただ、排気ファンはモーターを回すだけなので電気代はそれほどかかりません。

*13:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15102.html
*14:https://localworks.jp/html/price/business/equipment-construction/exhaust-work.html

オゾン発生器のコスト

最近「オゾン発生器導入車」というステッカーをつけたタクシーが増えてきました。オゾンがコロナを不活化させることは、さまざまな研究機関が立証しています(*15、16)。
オゾン(O3)は酸素原子が3個ついた気体で、酸素(O2)の仲間ですが、酸素よりはるかに強い酸化作用を持ちウイルスを確実に殺します。

オゾンは自然界では特定の場所にしか存在しないので、感染症対策として使うには、オゾン発生器でオゾンをつくらなければなりません。

オゾン発生器は、数万円の家庭用から、30万円の業務用までさまざまな種類があります。空間の広さに応じて選ぶことになります。
オゾン発生器の消費電力はわずかなので、かなり大型の業務用を1台毎日運転させても月数百円程度でしょう。家庭用なら月数十円です。

*15:https://www.naramed-u.ac.jp/university/kenkyu-sangakukan/oshirase/r2nendo/documents/press_2.pdf
*16:https://www.fujita-hu.ac.jp/news/j93sdv0000007394.html

まとめ~感染症対策コストはもはや必要経費

もし企業経営者が、感染症対策コストを特別な出費と考えていたら、そろそろ考えをあらためたほうがよいかもしれません。
日本政策投資銀行が2021年8月に公開した「企業行動に関する意識調査結果(中堅企業)」によると、新型コロナが中堅企業に与えた影響には次のものがあります(*17)。

<新型コロナの影響、多い順(複数回答)>
1位:製品やサービスの国内需要減、75%
2位:国内外の移動制限による事業制約、43%
3位:感染防止対策による労働力の制約、25%
4位:感染防止対策によるコスト増、22%
5位:製品やサービスの海外需要減、21%

3位と4位はいずれも感染防止対策(≒感染症対策)による影響で、これを足すと47%になり2位になります。
感染症対策は企業に重くのしかかり、企業はこの重りを抱えて競争していかなければなりません。
感染症対策コストを必要経費と考えて、コスト管理していきましょう。

本記で紹介した、感染症対策コスト戦略を再掲します。これを1つずつクリアしていき、感染者を出さない会社を維持しながら、コスト管理を徹底してみてください。

  • コスト戦略1:対策資材は一括大量購入を心がける
  • コスト戦略2:中小企業や小規模事業者は仲間を集めて対策資材の一括大量購入を目指す
  • コスト戦略3:他社と協力すると、協力コストが発生するのでそれも計算に入れる
  • コスト戦略4:効果が目にみえない対策は、効果を実証できるものを選ぶ
  • コスト戦略5:施工が必要な対策は、正しく施工されているか確認する
  • コスト戦略6:支出額からメリットの金額を差し引いた額が実質的なコストになる
  • コスト戦略7:コスト0円の感染症対策をどん欲にすべて実行する
  • コスト戦略8:運用コストが「電気代のみ」のものを実行する

*17:https://www.dbj.jp/pdf/investigate/equip/national/2021_enquete_02.pdf

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