2021年10月18日の新型コロナの国内の新規感染者は223人で、同年で最小を記録しました(*1、10月19日現在)。
感染拡大の第5波の最中の8月には、新規感染者が25,000人を超える日があっただけに、今の状況に安堵している人も多いでしょう。
しかし、家庭を守る人もビジネスパーソンも、油断しないでください。政府は第6波を警戒しています。
せっかくここまで感染から逃れられた人も、感染によってつらい想いをした人も、今こそ総力を挙げて防護を固めるときです。
「総力を挙げる」とは、これまでの感染症対策に加えて、新たな対策を講じることです。
大流行が起きる前に準備に取りかかることができて、なおかつ効果が長持ちする対策として紹介したいのが、抗菌コーティングです。
抗菌コーティングは、ウイルスを殺す効果がある物質を液体に混ぜて、家のなかや会社の事務所内に散布して「抗菌の膜」を張ります。
抗菌コーティングにはいくつか種類があるので、それぞれの特徴を紹介します。
当社が扱う、ドイツ・ヘコソル社製のTITANO(ティタノ)も、抗菌コーティングです(*2)。
*1:https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html
*2:https://www.dksh.com/jp-jp/products/spe/hecosol-titano
第6波は来る、と考えていたほうがよい理由
総力を挙げた防護を提案するのは、第6波が来ることを想定しているからです。
ならば第6波が来ないのであれば、対策は要らないことになります。
第6波は本当に来るのでしょうか。
ワクチン接種が進んで新規感染者が激減して第5波が過ぎ去ったのだから、これからもワクチンを打ち続ければ第6波は起きない、と考えたくなります(*1-1)。
しかし第6波は来ると考えたほうがよいので、その理由を解説します。
*1-1:https://www.asahi.com/articles/ASP9W6J76P9WULBJ00M.html
出典:https://www.tnc.co.jp/news/articles/NID2021101311782
ワクチン効果は「感染」と「重症化・死亡」をわけて考える
政府は第6波が到来する前提で対策を強化しています(*1-2)。
それは新型コロナ・ワクチンが完璧ではないからでしょう。
新型コロナ・ワクチンは、感染症の発症予防効果と、感染症の重症化予防の効果は高いものの、感染を予防する効果はまだ明らかになっていません。
厚生労働省はワクチンの感染予防効果について「時間の経過や接種者数の増加に伴い、研究が進んでいる」としか言っていません(*1-3)。
●ワクチンを打てば感染症の発症や重症化は予防できるかもしれない
●しかしワクチンを打っても感染予防効果が生まれるかどうかわからない
この2つのことを裏づける数字が、大阪府で出ました。
大阪府の第5波は2021年6月21日から始まったとされ、10月12日までの1日の最高感染者数は9月1日の3,004人でした(*1-4)。
一方で、大阪府の第4波(3月1日~6月20日)の1日の最高感染者数は1,260人でした。
第5波におけるワクチン接種者のほうが第4波のときより確実に多いはずなのに、第5波の1日の最高感染者数のほうが、第4波のときの2.4倍(=3,004人÷1,260人)になっていました。
ところが、死亡率でみると、第5波時は0.2%、第4波時は2.8%と、第5波時のほうが顕著に低い結果になりました。
<大阪府の第5波時は、1日最高感染者数は多いのに、死亡率は低かった>
第4波 3月1日~6月20日 | 第5波 6月20日~10月? | ワクチン効果 | |
ワクチン接種 | 少ない | 多い | 感染は防げていない? |
1日最高感染者数 | 1,260人 | 3,004人 | |
死亡率 | 2.8% | 0.2% | 重症化は抑制できている |
政府の第6波予防策とは
家庭でもビジネスでも「第6波に備えてほうがよい」と考えるのは、政府が第6波に対して強い危機感を持っているからです。
政府のコロナ対策には批判もありますが、それでも政府には、国内最高峰のウイルス研究者や感染症対策の専門家からの意見が集まっています。
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会には、世界保健機関(WHO)で感染症対策の責任者を務めた尾身茂氏の他、東北大学大学院医学系研究科微生物学分野教授、東邦大学微生物・感染症学講座教授、東京大学医科学研究所公共政策研究分野教授、日本医師会常任理事といった肩書の人たちが名を連ねています(*1-5、1-6)。
この人たちの意見を参考にして、政府が「第6波を警戒しよう」と呼び掛けているので、それには信憑性があると考えるべきです。
政府が想定している第6波の状態と、その対策は次のとおりです(*1-7)。
<政府が想定する第6波の状態>
●第6波の到来は今冬(2021~2022年シーズンの冬)が予想される
●感染力がデルタ株の2倍になるウイルスが広がることを想定している
●希望者が全員ワクチンを2回打っても、感染が拡大する可能性がある
政府は、もし「この第6波」が到来したら、入院が必要になる人は全国で34,000人になり、そのとき17都府県で計5,000床の入院ベッドが不足すると推計しています(*1-8)。
そこで次のような対策を打ち出す、としています。
<政府の第6波対策>
●感染力が第5波の2倍になっても対処できる医療提供体制を整備する
●3倍以上になったら緊急事態宣言だけでなく、強い行動制限を求める
●一般医療を制限したり、臨時の医療施設で対応したりする
●コロナ対応すると申告しながらコロナ患者を受け入れなかった病院の「幽霊病床」を解消する
●オンライン診療と往診を活用する
●3回目のワクチン接種を2021年内に開始する
●飲み薬タイプの治療薬を2021年内に実用化する
第5波での反省を踏まえて対策を強化させることがわかります。
*1-5:https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/pdf/meibo-corona.pdf
*1-6:https://www.jcho.go.jp/wp-content/uploads/2014/05/jcho28NEWS0312.pdf
*1-7:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA14E0C0U1A011C2000000/
*1-8:https://www.yomiuri.co.jp/medical/20211017-OYT1T50047/
抗菌コーティングがなぜ追加対策になるのか
第6波への追加対策として紹介する抗菌コーティングは、新型コロナ対策としては後発組になります。
総力を挙げた感染症対策とは、先発組の対策と後発組の対策を合体させたものになります。つまり、抗菌コーティングだけで第6波を乗り切ることはできない、と覚えておいてください。
先発組の対策には次のようなものがあります(*2-1)。
●ワクチン接種
●PCRなどの検査
●行動制限
●3密回避
●人との距離の確保
●マスク
●手洗い
●換気
これらはおなじみのものですが、政府はいまだに実施の徹底を求めています。
ではなぜ、これらに加えて、抗菌コーティングが必要になるのでしょうか。
それは、抗菌コーティングの効果が長期間継続するからです。この特性は、行動制限を緩めて経済を回すためにとても重要になります。
*2-1:https://corona.go.jp/package/
行動制限の緩和に寄与するといえる根拠:年単位で効果が持続するから
コロナ禍でさまざまな行動や活動が自粛されたことにより、日本経済は大打撃を受けました(*2-2)。日本経済を破綻させないようにして、なおかつV字回復させるには、行動制限の緩和が不可欠です(*2-1)。
抗菌コーティングでは、殺菌効果がある物質が、壁や机、椅子、カーテン、床、天井、タンス、書類棚、パソコンなどの表面に付着して、しばらくとどまるので、抗菌作用が長続きします。
「しばらく」の期間は、抗菌コーティングの種類によって異なりますが、当社のティタノは1年間有効です。
3年というメーカーもありますし、「半永久的」と宣伝している会社もありますが、半永久は言い過ぎでしょう。なぜなら、半永久の効果を証明することはできないからです。
一度抗菌コーティングを実施すると、年単位で効果が持続することは、行動制限の緩和の助けになります。
先ほど紹介した「行動制限、3密回避、人との距離の確保、マスク、手洗い、換気」は、それをやめた途端に効果が終わります。例えば、人との距離を取っていても、マスクをしていても、人と近づいたりマスクを取ったりしたら、感染リスクが急上昇します。
しかし抗菌コーティングは、一度実施すれば、それ以降はしばらく実施しなくて済みます。このような性質を持つ対策はほとんどなく、それだけに抗菌コーティングは、他の対策との相性がよいわけです。
*2-2:https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-economy/
抗菌コーティングの種類
抗菌コーティングをうたう製品はいくつもありますが、エビデンス(科学的根拠)が存在するものはそれほど多くありません。
ここでは信頼できる抗菌コーティングとして次の3つの製品を紹介し、特性を解説します。
●イオンコーティング
●光触媒
●ティタノ(当社の取り扱い製品)
1つずつみていきましょう。
イオンコーティングはこうやって抗菌する
イオンコーティングのイオンとは、電子が過剰または欠損した状態の原子のことです。
イオンコーティングでは、銅イオン、チタンイオン、プラチナイオンがよく使われています(*3-1)。
銅、チタン、プラチナには、原子の状態でも最近やウイルスを殺す力がありますが、イオンにすると動きが活性化されるので抗菌効果が高まると考えられます(*3-2、3-3、3-4)。
*3-1:https://www.g-shieldkoukin.jp/?gclid=Cj0KCQjwweyFBhDvARIsAA67M70LbVTp5AJu3RO0zCOdHZMcGlcEBBzr8zrtpzCM93Nvhjh5mvFEAAEaAoHrEALw_wcB
*3-2:http://www.jcda.or.jp/feature/tabid/88/Default.aspx
*3-3:https://www.kobelco.co.jp/technology-review/pdf/47_3/085-085.pdf
*3-4:https://delight.co.jp/clean/wp-content/uploads/2020/06/kaken.nii_.ac_.jp_15K15253seika.pdf
光触媒はこうやって抗菌する
光触媒では酸化チタンを使います。
東京大学工学部が1970年代に、酸化チタンに水分を供給して光を当てるとウイルスや細菌を殺す酸化作用が起きることを発見しました(*3-5)。
これを抗菌コーティングに応用したのが光触媒です。
コロナ禍が発生したことで、触媒の研究者たちが、光触媒は感染症対策になるのではないか考えました。
そして、東京工業大学などの研究チームが2020年10月に、光触媒にコロナを不活化させる効果があることを実験で証明しました(*3-6)。
この研究チームが使った光触媒は酸化チタンと酸化銅を組み合わせた「可視光応答形光触媒材料(CuxO/TiO2)」という物質で、2時間でコロナを99.99%減らすことができました。
*3-5:https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/f_00057.html
*3-6:https://www.titech.ac.jp/news/2020/048019
ティタノはこうやって抗菌する
ティタノは、ドイツの抗菌化合物開発のヘコソル社が開発し、日本では当社が輸入、販売を担当しています。
●液体を室内中に散布する
ティタノは液体で、このような容器に入っています(写真1)。
写真1
写真2
写真3
ティタノは、ランドセル型の容器に入れ(写真2)、噴霧器で室内中に散布していきます(写真3)。
これで部屋中のモノや壁、天井、床にティタノの膜が張られるので、ウイルスがティタノに触れる機会が増えて抗菌されます。
この作業はティタノを使用した抗菌コーティングの講習修了者(認定者)が行います。
【成分は、酸化チタン、銀イオン、硝酸】
ティタノの主な成分は、酸化チタン、銀イオン、硝酸です。
酸化チタンが含まれているので、ティタノは光触媒の特性を取り入れている、といえます。
酸化チタン、銀イオン、硝酸が、どのように抗菌効果を発揮するのか、1つずつ解説します。
●酸化チタンはこうやって殺菌する
酸化チタンに光が当たると、電子と正孔が生まれます。正孔とは、電子が抜けた穴になります。電子はマイナスの電気を持ち、正孔はプラスの電気を持ちます。
電子は空気中の酸素と反応し、正孔は空気中の湿気(水分)と反応し、2種類の活性酸素を発生させます。
活性酸素は酸化作用を持つことから、体内にあると細胞を傷つけて健康を害しますが、ウイルスや細菌に対しては殺菌効果を発揮します(*3-7、3-8、3-9)。
*3-7:https://www.scej.org/docs/higher/highschool-web/hikarisyokubai_youshi.pdf
*3-8:https://kotobank.jp/word/%E6%AD%A3%E5%AD%94-85742
*3-9:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html
●銀イオンはこうやって殺菌する
銀イオンにはウイルスなどに結びつき、その内部に侵入する性質があります。
銀イオンはさらに、ウイルス内部の増殖に関わるタンパク質を障害する作用があるので、これでウイルスが増殖できなくなります(*3-10、3-11)。
*3-10:https://www.medical-aid.co.jp/products/medical/agmsheet/genri.html
*3-11:https://www.japan-ion.com/other/silver_system.pdf
●硝酸はこうやって殺菌する
硝酸の化合物である過硝酸について大阪大学の過硝酸応用研究開発コンソーシアムは、「高殺菌力と生体への安全性を備えている物質で、医療機器の消毒や人体の消毒に活用できる」と説明しています(*3-12、3-13)。
「消毒」は、殺菌や抗菌よりも徹底的にウイルスや細菌を殺す概念なので、硝酸を抗菌コーティングに投入するのは合理的といえます。
過硝酸もウイルスの内部に侵入して破壊します。
*3-12:http://www.ppl.eng.osaka-u.ac.jp/pna/novel-sterilization.html
*3-13:http://www.ppl.eng.osaka-u.ac.jp/pna/pna.html
以上のことをまとめると、このように説明することができます。
●ティタノは、酸化チタンの光触媒効果で殺菌し、銀イオンと硝酸がウイルスを内側から破壊する
まとめ~油断をしないとは準備をすること
第5波の劇的な沈下は、人々を喜ばせています(*4-1、4-2)。
しかし政府は、第5波の2倍の感染力を持つ第6波が到来することを想定し、医療体制の強化などに乗り出しています。
このことは、自由な活動を謳歌している人たちも理解しているはずです。
「油断してはいけない」という気持ちは、多くの人が持っているはずです。
では、油断しない、とは、具体的にどのような行動を指すのでしょうか。
それは準備することだと思います。
マスクを着け続けて、人混みを避けて、新しい対策が誕生したらそれを試すことです。
この記事では、追加対策として抗菌コーティングを紹介しましたが、よいことはどんどん家庭や会社に導入していくことをおすすめします。
*4-1:https://www.asahi.com/articles/ASPB256V5PB2UTIL00W.html
*4-2:https://mainichi.jp/articles/20211015/k00/00m/040/242000c